Necco当事者研究会~Necco Tojisha-Kenkyu Group

2011.8~2014.8
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2011年8月から2014年7月までの4年間、東京都新宿区西早稲田にある、日本初の「大人の発達障害当事者による、大人の発達障害当事者のための就労支援施設」《Alternative Space Necco(オルタナティブ・スペース・ネッコ)》のフリー・スペースをお借りして、 夜の部と昼の部というかたちで月2回、毎回15~20名の定員で【Necco当事者研究会】を開催しました。

生きづらさを抱える私たち発達障害者が社会の中で生き延びていくためには、現在まかりとおっている一般的な社会ルールを当事者が学習し、それを遂行するという適応努力をしていくだけでは足りないと思われます。なぜなら、際限のない社会適応の努力の末に体を壊すこともまれではないからです。私たちは自分たちの心身の健康を守って生きていくために「そこから先は多くの人と同じようにはできません」と断らなければならず、さらには「ここからはできないのでお願いします」とニーズを伝える必要にも迫られています。

しかしいくら過剰適応を迫る圧力を押しのけ、等身大のニーズを主張したくても、私たちにはまだ自分の身体について説明する言葉が足りなすぎる気がしています。ニーズや支援のあり方を社会に伝え、社会構造が少しずつ変わることを目指すためにも、まずは当事者自身が仲間とともにつどう場があること、そして自分たちの内部に生じているけれど「こんなふうに感じるのはおかしいのではないか」と怯えて誰にも言えずにいる、まだ言葉にできていない感覚や経験を、専門家からも他の当事者からも抑圧されず、安全に語れることが必要なのではないかと考えました。そうしてそれぞれの経験を共有し、相互に意味づけをしながら徽密に言語化していくために、うまくいくかどうかはわからないが、いずれ当事者研究をやってみたい。そんな思いからこの会はスタートしました。

5年目となる2015年8月からは、同年4月に東京大学先端科学技術研究センター当事者研究分野が開設した《当事者研究Lab.》に活動場所を移し、それに伴い名称を【おとえもじて】に変更して、引き続き当事者研究会をおこなっています。

【Necco当事者研究会に関する文献】

Necco当事者研究会(2013). 発達障害者による当事者研究会 石原孝二(編) 当事者研究の研究 医学書院 pp.271-291.

Necco当事者研究会(2013). Discussion 当事者研究をやってみた 石原孝二(編) 当事者研究の研究 医学書院 pp.292-301.

綾屋紗月(2013). 当事者グループのわかちあい――カテゴリーを超えて、時間を超えて こころの科学, 171, 56-62.

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