夏の夕暮れにゆらぐ
30年前から変わらぬ街の風景が
私を急に過去へと連れていく
育った街も学校も家も窮屈で
あんなに
にくんでいたのに
空ばかり見上げて
この網のそとへ出たいと
本気で願っていたのに
今まだ私はそこにいる
そういえば
ここには同級生の家があった
老朽化した団地は
新しく生まれ変わった
わたしだって
あの頃のままでは
ないはずなのだが
ここに根を下ろして生きていくのだと
覚悟を決めた日が
たしかにあったはずなのだが