ジョブ型契約ならアスペルガー症候群は働きやすいか?

hamachanこと濱口桂一郎氏のブログ
EU労働法政策雑記帳」を
いつも興味深く拝読しています。
先日(2010年5月4日付)の記事、
アスペルガー症候群が生きにくいメンバーシップ型社会
を読んで思ったことがあったので、
みなさんの議論の参考になればと思い、
ここに書き留めておこうと思います。
確かに業務内容が明確化されている
ジョブ型の労働契約に比べて、
メンバーシップ契約が
アスペルガー症候群(以下、AS)にとって
働きにくい一面はあります。
私の就労経験を切り取る時にも
「フリーランスではうまくまわっていたのに、
 正規社員になった途端にうまくできなくなってしまった」
という語り方があてはまる側面があります。
しかし、歴史を振り返った時、
メンバーシップ型の労働環境がうまくまわっていた時代には、
ASや高機能自閉症といった名づけが
日本ではほとんど知られておらず、
むしろ
それらにほころびが生じた時期に一致して、
名づけが流布していったという事実があります。
(ちなみに英米では日本よりも20年近く早く
これらの名づけが広まっていきました。)
ということは、
「メンバーシップ型/ジョブ型」という区分が
そのままASにとっての
「働きにくい/働きやすい」労働環境という区分に
直結するのではなく、
また、
別の軸も考慮にいれる必要があるのかもしれない
と考えています。
このようなことについて、
私の就学・就労経験をもとに過去に文章を書いたので、
掲載致します。
「隙間に立ちあがるもの ―ノイズ・ノリ・熟議―」 綾屋紗月
(PDF形式)
この文章の結論でもhamachan氏の重視している
「民主主義的な熟議」をキーワードにしています。
本文は現時点での一応の結論ですが、
これがいかにして可能なのかは、今なお検討中です。